「スーツで結婚相談所の初面談に行ったら、まるで“就活”みたいだった──。」
年齢、職業、年収、家族構成…。
聞かれるたびに、自分が“商品棚に並んだお菓子”のように思えてきた。
できれば、女性に人気のあるチョコレートみたいな存在になりたかった。
でも──
平均以下の年収、特に自信のない容姿。
そんな僕が選ばれるなんて、あるわけない。
「もう、俺の人生って詰んでるのか?」
本気でそう思った日もあった。
これは、“恋愛の始まり”には到底思えなかったあの時間を起点に、
僕が少しずつ、自分を受け入れて、人とつながっていくまでの物語です。
🟥■1. 第一章:「就活」になってしまった初面談
はじめての結婚相談所。
緊張のあまり、スーツを着て向かった僕。
「周りからどう見られるか」がとにかく気になっていた。
変に思われたくなくて、自分の本音も、弱さも、全部隠していた。
“ちゃんとした人”に見えた方がいいに決まってる──そう思い込んでいた。
それでも、一人でいるのは寂しかった。
誰かと一緒に笑える日常がほしくて、結婚相談所のドアを開けた。
心のどこかで、ドラマみたいな出会いや、穏やかな結婚生活を夢見ていた。
けれど、現実はそんなに甘くなかった。
担当者の質問は、まるで就活の「エントリーシート」。
あの頃の面接を思い出すような、淡々としたやり取りだった。
「ご年収は?」「趣味は?」「ご両親と同居ですか?」
──言葉を返すたびに、自分の人生が評価されているような感覚に襲われた。
自分には“これ”と言えるものがない。
答えを出すたび、過去の自分を否定されていくような気がした。
いつの間にか、「好かれたい」ではなく、「落とされたくない」ために話していた。
そんな自分に気づいた瞬間、少しだけ、心がしぼんだ気がした。
🟧■2. 第二章:減点思考の罠──婚活が“苦行”になる理由
どうにか結婚相談所に入会できた僕だったが、そこからがまた苦しかった。
申し込んでも、返事が来ない。
何人に申し込んでも、OKの返事がひとつも来ない。
そのたびに、心がすり減っていった。
「やっぱり俺なんか、無理なのかもしれない」
婚活が、まるで滝行のような“苦行”に感じ始めていた。
昔は、“普通の結婚”くらいはできるだろうと思っていた。
でも現実は、その“普通”さえ、僕には遠かった。
それでも──
「誰かと穏やかに暮らしたい」という気持ちは、確かにあった。
だから、お見合いの日にはスーツに袖を通して、緊張しながら向かった。
でも、やっぱり“初対面の人と話す”というのは、予想以上に疲れる。
言葉を選びすぎて、何も話せなくなってしまう。
そして、評価を恐れるあまり、ありのままの自分を隠すようになっていった。
面談も、デートも、ずっと“演技モード”。
本当の自分ではなく、「いい人に見える僕」を演じ続けていた。
けれど、どれだけ演じても、誰の心にも響かなかった。
誰にも“僕”を見てもらえていない気がして、むなしくなった。
🟨■3. 第三章:変化のきっかけ──答えじゃなく“対話”をする
そんなある日、たまたま再生された一本の動画。
画面の中の誰かが、こう言った。
「評価されようとするほど、人は遠ざかる」
その言葉が、心に刺さった。
一瞬、呼吸が止まったような気がした。
僕はずっと、どうにか“良く見せよう”としていた。
周りから浮かないように、変に思われないように。
「普通のサラリーマンとして、普通の生活を手に入れなきゃ」──そう思っていた。
でも、ふと、こんな問いが浮かんだ。
“普通って、なんだ?”
それは「誰かにとっての理想」を追いかけていただけで、
僕自身が本当に欲しかったものじゃなかった気がする。
次のカウンセリングでは、思い切って「履歴書」をやめた。
良く見せるための“用意された言葉”ではなく、
自分の歩んできた人生のことを、ぽつりぽつりと話してみた。
「僕、昔うつで休職してた時期があるんです」
「映画が好きで、週末はひとりでよく観てます」
「ひとりでカフェに行くのが、実は好きなんです」
評価されるかどうかは、もう気にしなかった。
その代わりに、「これが僕です」と言えるようになっていった。
🟩■4. 第四章:評価じゃなく、縁をつなぐ婚活へ
自己開示をすることで、相手の反応が変わった。
それまで緊張感ばかりだった会話が、ふと、柔らかくなる瞬間があった。
「あ、それ、僕も一緒なんです」
「その趣味、どうして始めたんですか?」
そんなふうに、本音と本音の会話が、少しずつ生まれていった。
自己開示って、怖い。
「こんなこと言ったら引かれるかな」と、何度も思った。
でも、本当に大切なのは、結婚することじゃないと気づいた。
大切なのは、結婚したあと、誰とどう過ごすか。
“いい顔”で選ばれることよりも、
“素の自分”で一緒にいられる人と出会うことのほうが、ずっと意味がある。
だから、顔やスタイル、年収や職業だけで判断されることを恐れなくなった。
婚活はもう、「ジャッジの場」じゃない。
僕にとっては、「対話の場」に変わっていた。
その日から、不思議と会話も変わった。
無理に笑うことが減って、自然に笑顔が出るようになった。
話題に困っていた沈黙の時間も、今ではむしろ心地よく感じることがある。
そして、僕の中で問いが変わった。
「減点されないように」じゃなく、
「この人となら一緒に過ごせるかな?」
そう思える相手と出会えるようになったことが、何よりの変化だった。
🟦■5. 第五章:就活面談から、ふたりの会話へ
今の僕は、結婚相談所をこう捉えている。
条件を満たす相手を“探す”場所じゃない。
一緒に未来を“語れる人”と“見つかる”場所。
以前は、年収や学歴、見た目や家族構成といった“条件”ばかりを気にしていた。
でも今は、もっと大事にしたいことがある。
共通点や価値観、ささやかな好みの重なり。
「それ、私もそうなんです」
「わかります、私もそう感じてました」
そんな言葉のやり取りが増えるほど、時間がゆっくり流れていくように感じた。
安心できる“対話”が、未来を想像させてくれる。
そこに評価や減点なんて、存在しない。
今では、婚活でいちばん大事なのは
外見や条件じゃなく、“会話力”だと本当に思う。
どんな言葉を交わし、どんな沈黙を共に過ごせるか。
相手が安心して話せる“空気”を、どれだけ作れるか。
それこそが、ふたりで人生を歩むための第一歩なんだと
🟫■6. まとめ
減点されないように生きてきた僕が、やっと見つけた答え。
結婚相談所の初面談は、まるで就活のようだった。
答えるたびに、人生が評価されるような気がして、苦しかった。
でも──
評価されることより、信頼されること。
好かれることより、自然に会話ができること。
何より、“安心して沈黙できる相手”と出会えることのほうが、ずっと大事だった。
婚活は、条件のマッチングじゃない。
心のテンポが合う人と、未来を語れるかどうか。
演じるのをやめたとき、
少しずつ“自分として”会話できるようになった。
そして気づいた──
「この人となら、静かな日常を共有できる」
そう思える相手が、ちゃんといたんだって。
もし今、婚活に疲れているなら──
自分を売り込むことより、「話していて安心できるか」を大事にしてみてください。
未来は、会話の先にきっとあります。
💬もし今、“話すことが怖い”と感じているなら──
次回の記事では、**「沈黙が怖くなくなる婚活会話術」**をお届けします。
緊張してもうまく話せないあなたへ、“会話よりも大切なこと”を一緒に見つけていきましょう。
📝近日公開予定|更新をお見逃しなく!
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